世界の社食から

GW明けから社員食堂が大きな変貌をとげ、
連日の大混雑の大混乱状態になっている。
30~40メートルくらいの行列ができ、
しかも列は遅々として進まない.......。
一体どこにこれほどの人間が隠れていたのか。
列が進まないのは、スタッフの不慣れによる
手際の悪さもあるが、給食会社の拘りもある。
かつての給食会社も嫌いではなかった。
速いし、メニューも定期的に更新され、売切もなく、
飽きないような工夫もされていた。
だが、社員たちは「もっと美味いものを!」と叫び
このたびのペレストロイカを行った。
その結果、手間がかかるがより美味しい!という
給食会社が採用された(と感じている)。
確かに美味い。
だが料理に拘りがあり、給仕が追い付かない。
あらかじめ準備していたものが完売となった後、
料理を皿に盛りつけ、提供し、また次を盛り付ける。
行列の流れが止まる。
結局昼休みの多くの時間を待ち行列で過ごすことになる。

料理も、ものづくりである。
 芸術性をとるか商業性をとるか。
ものづくリストの宿命は、この二つのはざまを常に彷徨う。
ものづくリストは芸術的な作品をじっくり時間をかけて
作りたい。だがそれではお客さんが痺れを切らしてしまう。
芸術的な拘りにはある程度の水準で見切りをつけて、
商業性に譲歩せざるをえない。
今、わが社員食堂のスタッフたちは芸術と商業のはざまに
ゆれているのである(大袈裟かもしれないけれど)。
アーチストはつらいよ......。□

今日の一冊

「劇場」 又吉直樹著 (新潮2017年4月号)

芝居に取り組む主人公の強いこだわり、創作への考察。
そして彼女との生活と彼女への想い。
当事者であってもここまで深く、濃くは描けまい。
芝居と絵画。フィールドは違えど同じ芸術に立ち向かう者として
主人公・永田に強くシンクロナイズされた。
そして少しずつ何かが歪み、次第に追い詰められていく彼と共に
まっしぐらに奈落の結末へと転落していく。
永田と青山のメールでの喧嘩などはホラーと言える程の怖さだ。
だが、又吉氏のお笑い芸人としての含みもそこここに感じられ、
くすりと笑ってしまう箇所もあり、不思議な余韻が残る。
そして涙も。秀作です。とてもとがっています。□

 

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夢十夜 外伝3

こんな夢をみた。

蜷川幸雄のワークショップに参加することになる。

ワークショップとはいえ、実はガチの芝居に近い。
今日が本番だといわれているのに、未だ手元に
台本が届いていない。

会場のフェスティバルホールへ向かうと、
エスカレータのところで蜷川幸雄氏に遭遇する。
開口一番怒鳴られるのではないかと怯えていたが、
とても気さくに今度飲みに行こう、といった声を
かけてくれ、ほっとしている。
だが、会場へ入るとそんな気持ちも吹き飛んだ。
20~30歳代の若者が台本を片手に発声練習をしたり
がっつり衣装を着替えて跳ねたり走ったり準備に
余念がない。
台本も赤や青、緑など役ごとに違うものが
しっかり用意されていたようだ。焦る自分。
スタッフに台本が届いていないとたずねたが、
まだ遅れているといわれる。
間に合わないと思い、僕はスーツに着替えて
会社まで台本を取りに行こうと準備をしている。
だが会社にも台本は無かった。
もういきあたりばったりで立ち向かうしかない。
きっと蜷川氏に怒鳴られ殺されるかもしれない。
蜷川氏からワークショップの課題が伝えられた。

「ここに女が一人いる。君たちは風を演じてみろ。

 だが、右から左に「ヒュー」とか言いながら

 走るような稚拙な演技は絶対に許さん」

僕はまた頭をかかえてしまう。□

今日の日本酒

モダン仙禽 無垢
(栃木県・さくら市/株式会社せんきん/評価:8点)

新宿伊勢丹本店にて実家土産として入手。
無垢、亀の尾、雄町の三種のうち、無垢(山田錦)を選択。
伊勢丹ではボトルを展示する棚が冷蔵庫になっており、
ぱかっと開くと、奇しくも無垢1本だけが残されていた。
金・銀といわれる亀の尾・雄町に対し、混じりけがなく
純真、素朴と言われる無垢。
まさにPUREな、ほどよい辛さとさわやかさが、
魚にも肉にも合わせやすい爽快感をもっている。
美味し!
おみやげのはずが、興奮する自分ばかりが飲んでしまっている......。□

 

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ペインターズハイ

個展開催まであと1か月も無い...。

ここ数か月「よく生きているな」

という暮らしをしてきました。

正直いかれていると思います。

相当しんどいのです。

が、今が一番楽しいときだという確信があります。

この制作に埋もれた日日が終わり、

いざ個展開催!となればあっという間に1週間が過ぎて

閉会を迎えてしまうのです。

今制作の渦中に居ながら、ふとその閉会の日のことを

考えてしまったとき、

「しんどい」を越えて「さみしい」と感じてしまった。

ランナーにとってランナーズハイがあるように、

絵描きにとってペインターズハイという状態が

今なのかもしれない。

どんなにいかれていても、しんどくても渦中の真ん中が

一番楽しくて幸せなのでしょう。□