夢十夜 Season4 第三夜

こんな夢を見た。

夜行バスに乗っていた。
夜行バスは深夜の高速道路を、延々と走り続けている。
車内は真っ暗だったが、荷棚のあたりに設置されたディスプレイが煌々と光っていて、なにかの映画の予告編が流されていた。
二人の青年が出会い、切磋琢磨しながら一人はやがて「阿Q」と名乗り、世界に名をとどろかせる存在になる、そんな映画だった。タイトルは「利休」。
映画が公開されたことはどこかで聞いて知っていたが、これほどまでに面白そうな映画だったのかと気づき、早く観に行かなくては、と慌てている。

やがて自分はとあるビルの屋上のレストランにたどり着いた。
レストランに隣接されたトイレに行くと、黒いサングラスをかけた怪しい男とすれ違った。
どこかで見た男だと思ったら、先ほどのレストランで見た店員だった。
屋上の芝生広場では3~4歳ぐらいの中国の子供たちが20名ほど集まって「阿!」と叫びながら太極拳をやっている。そこに、先ほどのトイレですれ違ったサングラスの男がナイフを持って子供達に襲いかかろうとした。
だが、すぐさま太極拳をしていた中国の子が1人、前にでて襲い掛かってくるサングラスの男に「阿!」と叫びながら拳を一発撃ちこんだ。男はものすごい勢いで遠くまで吹っ飛んで行ってしまった。
そのとき、自分は「あ、彼こそが「阿Q」なんだ」と気が付いた。□

補足。目が覚めてすぐ、映画「利休」が上映されていたのはどの映画館だったかをスマホで調べてしまった。だが、「利休」といいながら阿Qが出てくるような映画は、この世には無かったのだった.........。

 

今日のカレー

 

カレーハウス11 イマサ(8点)

 

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「ジャ~マンでぇ~す」

気の抜けた、かったるそうな声が店内に響く。

新宿西口地下にあるカレー店「イマサ」である。
昨今世間を騒がせているスパイスの効いた挑戦的・前衛的なカレーとは異なり、ベーシックでシンプルなカレーの店であるのだが、僕にとってはこのカレーが忘れられない味となっている。
高校生の頃、猿のようにテレビゲームに没頭していた僕は、週末になるとほぼ必ず、友人らと新宿に出かけ、安くなったテレビゲームのカートリッジを買いあさったり、ゲームセンターに入り浸る。という大変まぬけなゲーム三昧の時間を過ごしていた。
さらにまぬけなのは、誰ひとりお昼ご飯を食べに行こう。と口にするものがいなかったことだ。
単にお金が無かったからか、時間がもったいなかったからか。今になっても良くわからない。あるいは、まだお酒すら飲めない、外食にも慣れていない高校生だったから、外の店に入るのが怖かったのかもしれない。

そんな週末の過ごし方がしばらく続いていたのだが、あるとき、そんな空腹に耐えられなくなった友人の一人が、「もうがまんできん!」と立ち上がり、ついにとあるカレー屋に飛び込んだのである。それがこの「イマサ」だった。

料金も安く、ベーシックに美味い。
空腹であったこともあって、もりもりとイマサのビーフカレーを食べた。
ときには、ちょっぴり高めだが、コーンとウインナーがのった名物「ジャーマンカレー」もいただいた。

あれから20年以上が経つが、今なおあの味が懐かしくなって時折、イマサには足を運んでいる。
食器が変わったりはしたが、基本的にはカレーの味が変わることは無い。
イマサのカレーを食べるたびに、悩みも無く仲間たちとゲーム三昧で過ごすことのできた、まぬけな青春のひとときが思い出されるのである。

今なお、店は元気に営業していていつも満席である。きっと人それぞれのドラマがこの高コスパカレーにあるのだと思う。□

個展中止のお詫び

2011年から毎年恒例で実施して参りました個展について、

諸々の事情により、

本年度は残念ながら開催を辞退させていただくことと決定しました。

応援していただいた皆様の期待に応えることができず大変申し訳ございません。

来年度は、本年度の分も含め、一層パワーアップした展覧会を開催したく鋭意計画中ですので、引き続きご声援、ご期待頂ければさいわいです。

これに伴いまして、本年度の制作は、主に二紀展への大作を中心に活動することになります。

会期が近づきましたら、また改めてご案内させていただきますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。□

今日の日本酒

純米 洌(れつ)
山形県米沢市/株式会社小嶋総本店/8点) 

https://www.sake-toko.co.jp/

 

洌=きよく冷たきこと。とあります。
すっと甘めの味わいが入ってきたあと、ジワリとからみがやってきます。
説明にあるように清らかに冷えた雪解け水のような緊張感と詩情を感じる銘酒です。

 

※2018/10/14に紹介した「小嶋屋 無題弐」も同じく小嶋総本店の作品です。□

 

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今日の一冊

 

ビブリア古書堂の事件手帖4」三上延 著 メディアワークス文庫(8点)

 

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江戸川乱歩、そしてシリーズ初の長編。
読み応えがありました。
資産家の家に隠されていた江戸川乱歩の貴重なコレクションと、閉じられた箱の秘密。
江戸川乱歩作品の薀蓄に並行した、栞子さんと母の対決が明智小五郎と怪人20面相との対決に見立てられているような感じがして楽しかった。
短編で構成されてきたこれまでとは違って1冊丸ごと江戸川乱歩ということでずっしりとしたミステリーになってます。

江戸川乱歩も改めて読み直したいなぁ。

ちなみに僕がもっとも好きな江戸川乱歩作品は「人間豹」です。□

 

 

 

今日の一冊

 

ビブリア古書堂の事件手帖 3三上延 著 メディアワークス文庫(9点)

 

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1、2巻のような古書について1つずつ事件を解決していくフォーマットは変わらないものの、次第に主人公・栞子さんの家族についての謎が全体を覆うようになって来る。

個々のストーリーでは、2話目の「たぬきとワニと犬が出て来る絵本のようなもの」がよかった。絵本も大好きなので(絵本についてはいづれブログで書いておきたいと思ってます)。

一度事件を解決したキャラクターたちも一期一会ではなくて、物語の常連として登場して来るところが、全体をさらにふっくらと厚みをもたせる効果にもなっていて、それもまた本書の魅力なのだろう。

ますます面白くなってきている。次の巻はなんと........!□