嗚呼青春の日々

AM8:00に目を覚ます。我ながら驚くほどの早起きである。
目的があった。


ゲームボーイアドバンスSPファミコンカラー」発売。


ファミコン誕生から20年という歳月を経て、ファミコンカラーであるアイボリー+エンジを使ってデザインされたゲームボーイが発売日されるのだった。そして同時に、ファミコンの黄金期を支えた名作10点も同時に発売されるのだった。


なんとしても手に入れなくてはならない。
鳥インフルエンザであろうが。狂牛病であろうが。恋ヘルペスであろうが。
這ってでも買いに行かなくてはなるまい。
わからないやつには永遠に解らない。しかしわかるやつには瞬時に伝わるこの青春のノスタルジー。


眠気を押し殺し、開店前のヨドバシカメラに並ぶ。
店頭には見るからに同じ目的の連中が押し寄せ、開店を待ちわびている。
今日という日は初めてなのに、何故かなつかしい。
どうやら「ゲームを買うために並ぶ」という行為自体が、惜しみなく愛をそそぎ込んだファミコンの日々を思い出させたようである。


やがてヨドバシカメラのシャッターが開くと全員がイチモクサンに最上階のテレビゲーム売場へ走る。俺も思わず走る。
行列。
全員が1つずつ、コンパクトになった「ファミコン」を手にした。同時に名作カートリッジを買っていく。無条件に全種類買う連中も少なくない。
当初「スーパーマリオブラザーズ」のみを買うつもりでいた俺もその勢いに押され「ゼビウス」まで買ってしまった。


どことなくぬくもりを感じさせる本体を懐に抱きかかえ家へ向かう。
そして早速カートリッジをゲームボーイ本体へ差し込んでみた。
スーパーマリオブラザーズ」が始まった。
感涙。
今になっても微塵も色褪せない永遠の名作に酔いしれる。


あのころゲーム1つ買ってもらうのに必死だった。
家で隠れて練習し、友人の家でその腕を披露する。
そんな毎日。
その結果、このような「あほ」が育まれることとなったが後悔はない。
ここまで来てしまった以上、生涯「あほ」で生き抜いてやる。


そんな開き直りを感じながらスーパーマリオに没頭している。
ファミコンよ、青春をありがとう。□