止まれない人々

新居は浅草界隈に決定した。


新生活は11月から開始となる。


8年間生活してきた大阪に対して、根はだいぶ深く張り込んでいて、引き抜くのはさぞかし大変だろうと高をくくっていたのだが、意外にもこちらが思っているほどの力も要さずにすっぽりと抜けてしまった。拍子抜けした。


自分を取り巻いていた人や物、環境はこちらが引き抜くでもなく、向こうから自然に離れていく感じがしている。
引越しを騒ぎにするつもりもないが、せめてお世話になった人たちには知らせておこうと友人、知人らにメールをたたいたが、返事のへの字もやってこない。
最後の合コンで出会った女性(若干未練あり)に挨拶だけでもしておこうとメールをたたいたら、こちらは返事があったが、来月の結婚が決定していた。知らぬ間に。
丁度東京に展覧会に来ているアトリエの先生が、都合を合わせて関東の先生を紹介してくださると言っていたので、約束の日の夜に電話したが、電話の向こうからは泥酔した先生の声。紹介するといった話はどこかに飛んでしまったようだ。


みんな忙殺されている。結構なことだ。が、道端に咲いた一輪の花を愛でるような心のやゆとりのようなものをすっかり亜空の彼方に放逐した先に何が残るのだろう。


もう止まれないのかな?俺たち。□