読書 「夜は短し歩けよ乙女」 (7点/10点)

massy2007-02-26

なんだか心臓を射抜かれたような語呂の良いタイトルである。それに装丁も気に入った。全く知らない作家ではあったが、私と本との出会いはいつもかようにして突発的で衝動的だ。
京都を舞台にした不条理恋愛コメディアドベンチャーとでも言おうか。世界観は高橋留美子の「うる星やつら」に近いかもしれない。アニメ化したら主人公の乙女は萌えキャラと呼ばれるステータスになるのではないか。
京都をマイペースで歩きぬける天然少女とそれを追いかけ続ける恋する男。天狗と自称する正体不明の輩や、京都の町を牛耳る老人等の不可解なキャラクターに彩られた怪しげで可笑しげな世界の中、物語はジェットコースターのように進んでいく。登場人物や設定は同じでありながら、先斗町下鴨神社京都大学と舞台を変えて展開するオムニバス形式の4連作になっている。かように純粋に女の子を追いかける男の姿がなんだかおかしくもあり、なつかしくもあり。ああ、青春だなあって感じ。笑った。ほっこりした。リラックスできた。□

森見登美彦著 「夜は短し歩けよ乙女」角川書店 ¥1,575