トライアル三部作開幕!〜しまなみ海道ちゃりんこ横断計画

massy2007-10-08

この秋、以前から決行!決行!とほざきつつも一向に決行されなかった「Massyトライアル三部作」の第一部「しまなみ海道ちゃりんこ横断計画」をようやく実施するに至った。


愛媛県今治市から出発し、広島県尾道市までの間の島々をつなぐ全長69kmの「しまなみ海道」を自転車(ママチャリ)で横断しようというスポコン企画である。
通常このような巨大な橋はたいてい自動車専用となっていて、歩行者が渡ることはできないのだが、ここしまなみ海道に限っては、自転車や徒歩でも横断できるように道路の両脇に専用のコースが確保されている。
徒歩であれば無料でわたれるし、自転車ならば50円〜200円の低価格で各橋を渡ることができる。


今回はようやく猛暑もおさまりかけた10/6〜10/8に、二泊三日かけて横断する、という少々ゆるい企画ではあったものの、普段全く体を動かさなくなったおっさんにはこれでもいっぱいいっぱいである。
特に各島をつなぐ橋に上るためには、どれも曲がりくねった長い長い坂をのぼりつめなくてはならない。また、個々の島に上陸してもだらだらと続く斜面があったりとなかなかハードなのである。


猛暑も終わりかけた瀬戸内海をさわやかに吹き付ける風が汗ばんだ体に気持ちよく当たる。
錆び付きかけた体が悲鳴を上げながらも、よろこんでいるのがわかる。
そして、上りつめた坂があるならば、当然その分次には下り坂が待っている。
自転車専用の道なので車を意識することなく、ブレーキも使わず下り坂を一気に滑り降りるたびにエクスタシーを感じた。
そんな感じで瀬戸内海の絶景に感嘆の声を上げつつ、上り坂には悲鳴をあげ、下り坂には衝天しつつ、ママチャリの一行が進んでいく。


旅の醍醐味はやはり宿である。
今回の宿泊は1泊目が伯方島のサラサヤ旅館、2泊目が生口島のひよし旅館であった。


初日、とっぷりと日も暮れ、サラサヤ旅館にたどり着いたときは「うげえ、ここかよ」と驚いてしまう。
「古い」に加え「暗い」。
案内された部屋は襖の扉になっていたが、鍵穴に鍵が入らない。
夕食はとれたての魚がどっさり出たものの、白米が品切れ。
埃の積もった荷物がそこここに放置され、薄暗く、しなる廊下。
トイレは大便器2基が共に紙詰まりで水が溢れ、使用禁止。更に翌朝には「使用禁止」の張り紙にも果敢に「作品」を残している馬鹿がいる。
これで、廊下を走る霊でも出ればフィーバーということになるが、さすがにそれはなかった。
なんにせよ、これほどまでのインパクトのある宿は前にも後にもお目にかかることはないであろう....。というか、もうあってほしくない(笑)。ここにまた一つ伝説が生まれた.....。


そして2泊目のひよし旅館。
その外見の古さを見た瞬間「また出た〜!!」という衝撃を感じた。1泊目の阿鼻叫喚の再来かと我々一行は怯えた....。
が、これが1泊目に比べると天と地のような、というより一般的に見ても超A級といっても過言ではない素晴らしい宿であったのである。
おじさんとおばさんが二人で運営しているこじんまりとした宿ではあったものの、おばさんがすごく気さくでやさしく、料理も素晴らしくおいしかった。
ご飯は炊き立てでほくほくしていたし、魚がおいしいだけでなく、焼肉まで出してくれた。
更に昨晩が1泊6000円だったのに、こちらは1泊5000円である!このコストパフォーマンスの高さには衝撃すら覚えた。これだから旅は面白い。


更にこの宿のあった瀬戸田という町の元気さ・情緒はしまなみ海道中でもベストと言って過言ではあるまい。
長い商店街には特産のたこの干物、蜜柑、檸檬等たくさんの名産が売られている。おばあちゃんもかわいい。
町の中心に位置する耕三寺は見学に1500円もかかったが、大理石でできた展望台から見下ろす町並みは美しく、ここは日本のアルハンブラだとすら思った。
東照宮を模したとされる孝養門も美しかった。
そして極めつけは、この寺の住職の母上が住んでおられたといわれる「潮聲閣(ちょうせいかく)」という建物の素晴らしさは、この旅に限らずこれまで自分の人生の中で見た建築の中でも屈指の巣晴らしさだった...!
和洋折衷で和、洋ともにこれでもか!といわんばかりの素材を集め、細部にいたるまで徹底的に造りこまれている。ふすま絵や天井画、格子窓の柄、意匠、何もかもに落ち着きや品が溢れている。
和洋折衷と言えば、神戸北野や長崎や函館で見られるがそれを裕に凌ぐ。


まさかこのような片田舎(失礼!)でこれほどまでの文化建築が見られるとは思わなかった。まさに世界屈指といっても過言ではない。これには本当に驚きまくってしまった。


さて、そんな素晴らしい数々の景色や建築を見ながら、気持ちいい汗を流し、10/8の16:00ごろ、我々一行は無事尾道に到着し、無事69kmを走破したのであった。
このような爽快感はここ近年では全く忘れていた貴重な経験だった。


すっかり気分をよくした我々は来年は「富士山登頂だ!」「熊野古道征服だ!!」等とうそぶいている。自惚れもほどほどにしたい。がこの勢いに乗り更なるハードルを征服はしてみたい。


ということでトライアル第二弾はまた来年。□