2年前...

街で懐かしい曲を耳にした。
ジャクソン・ファイブの「I saw Mammy kissing Santa Claus」である。


この曲を聞くと2年前のクリスマスを鮮明に思い出す。


2年前の丁度今頃、兵庫県のとある街で1ヶ月ほど電気屋のお手伝いをしていた。
連日の寒波だった。そのくせ仕事は外周りが多く、凍死寸前でもがいていたことを覚えている。


毎日30分程度のわずかな昼休みの時間が楽しみだった。
近所にこじんまりとしたかわいいレストランがあり、いつの間にかそこに通うようになった。
カウンター席4〜5席とテーブル席が1つある程度のレンガ造りの店で、マスターと奥さんが二人で経営していた。
丁度クリスマスシーズンだったからだろう、店に入るといつもジャクソン・ファイブが流れていた。


外の厳しい寒さとは対照的に、小さなクリスマスツリーが飾られた静かな暖かい店内で、毎日、暖かい食事とクリスマスの名曲が迎えてくれた。
本当にそんな些細なことであったのに、それを身にしみるようなしあわせだと感じていた。
クリスマスということよりも、あのタイミング、あの場所、あのシチュエーション等の全てが混ざり合い、一つの鮮明な形になって自分の記憶に刻まれた感じがしている。



.....以来、あの店には行っていない。
だが、ふとこんなきっかけでいつもあのとき噛み締めたしあわせを思い出す。




大切な思い出である。マスターは今も元気だろうか。□