ヒートテックのチカラ

丹後半島方面へスケッチ取材に出かける。


3月に入ったとはいえ、日本海側はまだまだ寒い。


特に今回は日本海に面した集落を中心に見て回ったため、モロに真冬の海風の直撃を受けながらのスケッチとなる。極寒である。


同行したメンバーの誰もが「寒すぎてとても描けたものではない」と悲鳴をあげていたのだが、実のところ、自分だけは「そんなに寒い?」と思っていた。


確かに風は冷たかった。が、「寒い」というより「冷たい」というだけであり、悲鳴をあげるほどでもなかったように感じていた。


後からわかったのだが、これは自分がヒートテックの下着を身に着けていたためであった。


「体の熱をうまく逃がしながら、かつ暖かい」という売り文句を見て、昨年以来ずっと身に着けていたのだが、あまりそのすごさの自覚はなかった。
が、はじめてそのチカラを思い知った感じだ。


すごいと感じたのは、室内でもずっと着ていたのに「暑い」と感じたことはなかった。それでいて外では「寒くない」のである。


室内で涼しく、外で暖かい。ということは相反するものであると思っていた。


スキーウェアを着れば真冬の外出も寒くはないだろう。だが室内では暑い。


暖かさと涼しさのいづれか一方を犠牲にしなくてはならない、という無意識のあきらめをもっていたのだが、ヒートテックはその矛盾する両方の長所を兼ねていたのである。



これは小さな発見だが、大きな発展だったと思う。


我々は真冬のスケッチのための大きな武器を手に入れたのである。□