アバター (6点/10点)

はやいもので2009年も終わりに近づいている。


今年の最後を締めくくるにふさわしい映画はないかと思っていたのだが、


丁度、ジェームズ・キャメロン監督が制作した「アバター」が公開されたということで、この目でその10年に及ぶ苦労を確認しに行ってきた。


ひとまず3時間に及ぶこの映像の作り込みには恐れ入った。


まさに10年に及ぶ苦労もうなづける作り込みである。


が、残念ながら斬新さというか、新しさというものはあまり感じなかった。


ストーリーの柱は「ロミオとジュリエット」。


アバターへの転移は「エヴァンゲリオン」のシンクロ。


環境を破壊する人間への警告は「もののけ姫」。


そしてアメリカ映画の王道の「勧善懲悪」。


要はそれらの組み合わせで、それ以外に新しいものが見当たらなかったのだ。


たぶん10年前の自分ならば、はげしいショックを受けたであろう完成度だったに違いない。


が、やはり長く生きていると、たくさんの映画やドラマやアニメを目にしてきたから、古いものの再表現というものは、「あ、その話なら知ってる」とすぐ気づいてしまう。
新しいものを素直に追い求めている自分がいるのである。


が、そういう自分も、絵画のコンクールで審査員をする人たちにまったく同じことを言われていることに気づく。
「ありきたり」とか「新しさがない」というのは、多くの絵を見てきた人たちにとって、まさに「そんな絵はもう見たことがある」ということになるのだろう。
知らず知らずのうちに、他の作品からの影響を受け、どこかでみたことのあるものになってしまう。


新しいもの、自分ならではのもの、というものを生み出すことの苦しみ。


それはとても大変なことである。その気持ちは痛いほどわかる。
が、でもそれをどうしても見つけてもらいたい。生み出してもらいたい。そして自分も見つけ出し、生み出したい。のである。


論点はずれるが、その発見がとてもありがたい映画だったと思う。


2009年が終わる前に、もう一本くらい見たいな....□