涼宮ハルヒの消失 (9点/10点)

(注)=====ネタばれあり!=====


まず驚いたのは、作画のクオリティと映画の長さ。


まるで写真のように描きこまれた背景(写真か?)。


そして、ただ歩くだけでも不自然な位、潤沢に使われまくるセル画枚数。


それでいて、見終わってみれば、なんと2時間45分に及ぶ超大作。である。


最初のテレビシリーズが終わって、セカンドシリーズを作り出したと聞いてから、実際に始まるまで、確かに相当のインターバルはあったけれども....。


まさか、テレビシリーズを作りながらここまですごいものを同時並行で回していたとは....。


テレビシリーズの「エンドレスエイト」などでファンの気をそらせつつ、実はこの「消失」こそが本命だったのだな、と思い知る。


クリスマスを前に突然消滅するそれまでの世界。新しい世界で姿を消す涼宮ハルヒ


キョンと共にその謎を解いていく感覚が味わえるスリリングな展開。


SOS団の団員たちの誰もが離散したその世界で、ようやくたどり着く涼宮ハルヒの存在。
別の高校生として涼宮ハルヒが登場したとき、キョンと同じ気持ちでその存在の強さ、輝きを共有した感じがした。
更に新しい世界での人間らしくはにかむ長門ゆきのいじらしさ。に萌える。


主人公のキョンが、作り変えられた世界と元の世界を選択する、という大きなストーリーの柱の太さに、涼宮ハルヒをはじめとするキャラクターの強烈な魅力と、笹の葉ラプソディとのザッピング的な構成。
この無敵のストーリー展開に、京都アニメーションの技術が加わり、とんでもない完成度の高い作品になっている。


昨今のライトノベルのアニメ化ブームの先駆けであり、また他の追随を許さない絶対的な王者として君臨するのにふさわしい完成度の高さであったと思う。


余談だが、キョンが新しい世界でいないはずの朝倉と遭遇し、驚愕したとき、突然映画館内のライトが明滅した。


昨今の3D映画ブームをよそに、京都アニメーションは映像と映画館のインフラを同期させることまでやっているのか!?3Dよりすげーぜ!とまたまた感激しかけていたのだが、実は「上映事故」だったらしく、見終わったときスタッフが出口で頭を下げ、1回無料の映画鑑賞券を配っていた。
確かに事故といえば事故だけど、演出とも見れるレベルだったので、なんだかとても得をした気分だった。もう一回見に行こうか。


さらに余談だが、この「涼宮ハルヒの消失」公開にあわせて、原作小説の表紙が伊藤のいぢ氏描きおろしのパノラマカバーに変わった、とのことで、一気に全巻を買い揃えてしまった。


なんだか、いつまでもブームは去りそうにないけど、これで終わりなのだろうか?


もうちょっとやってほしい気もするし。有終の美をかざって、次にいくもよし。でもこれで本当に終わりとされるとなんかさみしい感じもするし。(どっちだ!)


とりあえず原作読みつつ、その動向をウォッチしていたい。□