ボーイズ オン・ザ・ラン (8点/10点)

(=========ネタばれあり=========)


なんとも愛おしい「もやもや具合」ではないか。



純和風小市民的「タクシードライバー」とでも言おうか.....。


「タクシードライバー」のスタイリッシュな部分を全部そいだら、まさに、デ・ニーロ=田西となるなのではないか?



がちゃぽんの景品を営業しながらどっちつかずの毎日をおくる鈍くさ男・田西だが、愛する彼女を傷つけられ初めて火がつく。


そのがんばりに、最後には勝つのだろう(勝ってくれ!)、そして彼女も元に戻るのだろう(戻ってくれ!)、という半ば願いをこめた目でスクリーンに釘付けになっている視聴者を、あっさり突き崩すリアルがすごい。


毎日のように没頭するボクシングもまったく通用せずぼこぼこにされる。


更にはまさに全ての願いの象徴たる彼女が、敵に作戦を漏らすという非情さ。


最後には、駅のホームでようやく彼女に本音を吐き出せたと思いきや、その想いとは裏腹に彼女を電車に押し込んで、また突っ走る。



本当にすごいやつだな、と思った。



本当に倒したい奴を倒せない。本当に好きな人と一緒になれない。
そういう田西の全てのどん底を支える、リリーフランキー、YOU、小林薫の存在感。彼らが醸し出す劇中の空気感も素晴らしかった。□



#がちゃぽん会館に行きてえ〜。それにしてもあんなに性悪なのか店長って?