茨木市の美術展で市議会議長賞をいただく。
市長賞につぐ二席の賞である。
その旨を職場の同僚に話したら「いくらもらえるの?」というリアクション。
賞金はない。ただ自分がやってきたことが社会的に見ても「そこそこ正しかった」という一時的な証明となるタテが授与されるのみである。
絵に関心の無い人にとっては「お金がでたかどうか」という指標しかすごいかどうかの判断のものさしをもたないようである。
ちょっとさみしい感じがしていたのだが、展示が終わり、その絵の回収にいったところで、市のスタッフから予期せぬ申し出があった。
「この絵を市で買い取らせてください」
なんと市がこの絵を10万円で買い取ってくれたのである。
これで一般人にもある程度の評価の指標が示せたのかもしれない。
だけど、やっぱり俺にとってはそんなことどうでもいいことである。
うれしいのは、市が自分の息子とも言えるこの絵を持っていてくれれば、いつか誰かが俺の絵を見てくれる、見つけてくれる。ということ。
さらに、わが部屋を埋め尽くす絵が1枚でも減ってくれる。ということ。
そんなところにこの上ない喜び、誇りがある。ただそれだけなのである。
10万円は仲間とパーッと飲んだらすぐ消えてしまうだろう。
でも心を満たしたこの一瞬の輝きは生涯消えることはないだろう。□