ホラー映画論〜その1

ホラー映画を見ている。


きっかけは荒木飛呂彦著「奇妙なホラー映画論」を読んでからだが、もともとホラー映画は好きなジャンルである。


「ホラー映画を見ている」と言うと巷の人々は「なんでそんな気持ちの悪いものを見るのか」というリアクションをする。


が、人を笑わせること、悲しがらせること、怖がらせること。等、どれも映像や言葉などの表現力を駆使して人間の感情を動かそうとする。といった点でゴールは全く同じでなのである。
ただ、結果として視聴後に客をどういう感情状態にもって行きたいのか、という差があるだけである。


にもかかわらず、やはり世間では、笑わせるジャンル(コメディ)や、泣かすジャンル(ヒューマンドラマ)だのが多く受けいれられ、怖がらせるジャンル(ホラー)は隅っこに追いやられている気がする。


ダリオ・アルジェント監督の「サスペリア」を見て、ホラーとか言う前に映像の美しさに圧倒された。
いろいろ調べてみると、「インフェルノ」「サスペリアテルザ」という2作を含めて魔女3部作と呼ばれていることがわかった。


この機会に3部作をしっかり抑えておかなくてはと思い、ビデオ店を回っているのだが、「ない」のである。


ホラー映画の世界では、ジョージ・A・ロメロ監督とダリオ・アルジェント監督ははずせない。これは常識である。にもかかわらず、ビデオ店には、しょーもないB級作品は多く並んでいるのに、王道である「ゾンビ」や「サスペリア」が置かれてなかったりする。


ここに、世間一般のホラー映画への無知、無関心を感じ、さみしくなるのだ。


結局、「インフェルノ」は、自宅界隈の5件のビデオ店をまわっても見つからなかった。


そして最後の6店目・・・。このお盆に実家に帰省したとき、地元にあるローカルビデオ店を覗いてみると、「あった」・・・!!


ホラー映画に限らず、マイナーでありながらもちょっとした名作といわれている映画を見るのにも、これほど苦労しなくてはならない時代になっているのだろうか・・・。


DVDやBDが普及して店舗にも多くの在庫がおけるようになったにもかかわらず、店舗に置かれるのはばかみたいに面積をとるアメリカドラマだの韓国ドラマばかりであり、稀代の名作が端に追いやられてしまうのはいかがなものか・・・。


ちなみに、最後の6店目はホラー映画コーナーに蜘蛛の巣がかかっており、
インフェルノ」を手にとったら、蜘蛛の巣が手に絡みついた。


いつ消えるともしれぬホラー映画や知る人ぞ知る稀代の名作に対する風前の灯を感じ、切なくなった。□