競演。

日曜美術館角田光代女史とヴァロットン絵画との対峙。


角田光代女史は、ヴァロットン絵画から受けた「違和感」のようなものを、小説として表現し、我々に提示してみせた。


ボールを追っていった女の子は、湖畔にたどりつき、そこで入水自殺する母親を見届ける....。不思議な物語だった。


頭の中に発生した何らかの感覚を、自分に最も適した表現手段を駆使して、第三者に極力忠実に伝わるように、わかりやすく表現する。


その姿勢はさることながら、その技量、精度の高さが見事であった。


これが直木賞作家のチカラなのか.....。


こんなチカラが自分にもほしい。と軽い嫉妬心をいだいてしまう。


だがそれは、社会性、商業性、芸術性、人間性....等、多くの無理難題のフィルタをくぐりぬけながら、それでも精度の高い仕事を出力し続け、社会の信頼にこたえ続ける。その果てに身についていったものなのだろう。軽率に嫉妬するなんて低俗すぎる。


文芸作家の活動というものは視覚化が難しい。


われわれが目にするのはいつもアウトプットのみだが、この機会では、アウトプットだけでなくインプットも共有できたことが面白い。
しかも、そのインプットがヴァロットンの絵画であったという点も、また上品な企画だったと思う。流石、日曜美術館。□



追伸:それにしても三菱一号は毎度エアコンが寒い。毛布まで配っちゃって。絵画が凍るんじゃないか。