国宝に会いに行く。

橋本麻里女史の仕事が美しい。


「国宝」。

その言葉のすごさはわかっているものの、
本当のすごさはどうも良くわからない。
それでいて、いつかはその美を理解してみたい。

橋本女史は、そんな多くの人々の憧れや夢を、
ズバリと叶えていく。

国宝の難しさを1/1000くらいの粒子に噛み砕き、
とくに大切なところを抽出、再構成して、
わかりやすく決定的な言葉でさらりと抽象化する。

その言葉がもつニュアンスはぴったりとぶれなく
実体に重なり、ゆっくりと脳に沁みこんでいく。

難しい言葉を並べれば聞き手はついてこられない。
簡単な言葉を並べれば聞き手は物足りない。
橋本女史はこれらの間の絶妙な言葉を選択し、
難解とされる国宝と理解を願う人々を仲介する。

表現のフィールドは違えど、
なかなか実現できない「美の見える化」を、
こともなげにさらりとやってのける橋本女史の姿に、
憧憬と嫉妬と恋心が脳内で心地よい格闘を続けている。


この奇跡的な仕事を少しでも吸収できるよう。

そして自分の仕事を少しでも美しくできるよう。

改めて日本美術の素晴らしさを通じて学んでみたい。□