去っていくものたち

 

世界から人が消えた。

 

彼らはマイナス3次元の世界に旅立っていった。

彼らは去って行った今も目の前に存在している。

話すことも出来る。だがもう異なる世界の住人だ。

昨日の彼らではないし、もう戻ることはできない。


展覧会会場に最後に現れたアトリエの女の子は

飾られた絵を一通り眺めた後、

しずかに微笑んであちらの世界に去っていった。

 

彼女はこの夜旅立つ前に、最後の別れを告げに

やってきたのだと確信した。

 

また一人、世界から人が消えた。

 

さようなら。またどこかで会いましょう。□