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変わりたい

 

かつて大変お世話になったK先輩の個展へ。

 

僕が描き始めたころに、ほとんどの手ほどきを

していただいた。

お互いの世界をそれぞれ異なる道から探すことを決め、

離れてから4年以来の再会。

長い時間だったような気がするが、

振り返ればとても短い時間だった。

久しぶりに会うK先輩は若干白髪が多くなったような

気がしたが、それ以外は変わっていないように感じた。

この4年を凝縮したような堅牢な魅力に溢れる作品が

2フロアに渡って展示されていた。

 

「変わってないなあ」

 

4年ぶりの僕を眺めてK先輩は笑った。

 

昔を懐かしく楽しむ言葉ではあったのだろう。

でも、僕には少しひっかかるものがあった。

本当に僕は変わっていなかったのだろうか.....?

何一つ変わることはできなかったのだろうか。

否、何かは変わっているんです。きっと。

それでも変わっていない。と相手に伝える心理。

これはいったい何なのか。

これはたぶん「願い」なのではないだろうか。

あの楽しかった時代に戻りたい。

あのときのままでいつまでもお互いに居たい。

そういう気持ちを、願いを、「変わっていない」

という表現に託しているのではないか。

 

それでも僕は「変わったね」と言ってほしかった。

K先輩と別れてからの4年間、自分なりにいろいろ

もがいて探して転げまわった。それが何らかの

「変化」としてK先輩に伝わってほしかったのだ。

でもそれは伝わらなかった。

僕はあのときのままなのか...........。

 

以前、かつて部署が同じだった職場のH先輩と、

5年ぶりに再会したとき、H先輩は僕にこう言った。

 

「ネクタイが似合うようになったね。」

 

たぶん社交辞令だったのだと思う。でもH先輩は、

久しぶりの再開を「変わっていない」とは伝えずに

「成長」を伝える言葉を選んだ。

今でも記憶から消えない最高の褒め言葉なのだった。

 

相手への、変わらないでいてほしいという願い。

相手への、変われた自分を認めて欲しいという願い。

どちらも愛おしい願いだ。

 

それでも僕は、前進できた相手の成長を祝福したいのです。□