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ゴッドファーザー

ゴッドファーザーPART1

ゴッドファーザーPART2

ゴッドファーザーPART3

この三部作をようやく見終えることができた。
学生時代には年200本程度の映画を観ていた
ほどの熱烈な映画ファンである自分が、
なぜこの映画史上屈指の傑作を観ずにこれまで
過ごしてきてしまっていたのか。
3時間に及ぶ大作が3本ということで怯んで
しまっていたのだろうか。
いつか観たい。観ねばなるまい。と思っていた
本作を今年ついに見終えることが出来た。

映画はマフィアのドンとそのファミリーが
モチーフとなっていて、敵対するファミリーとの
壮絶な権力争いのもようが描かれる。
激しい暴力描写もある。だがそれだけではない。
自分の人生には絶対に接点のない猛毒的要素を、
僕は映画で補っている。
今年観た映画を振り返ると傾向として猛毒映画
ばかりが目立ったように感じる。やはり自分は
心に毒を必要としている。自分自身がもたない
のでサプリメントのように映画から摂取しなく
てはならないのだろう。
ただ、ゴッドファーザーについては、表層的な
モチーフ、表現ゆえに猛毒があるように感じる
だけで、実は人間の生きる力と、その力のために
生み出される人生の苦難が主題なのであった。

ニューヨーク、そしてシチリアにわたり絶大な
権力を持ちながらも、家族からは忌み嫌われ、
病にも襲われ、そして仲間に裏切られていく。
大切なものを守るために、力を発揮すればする程、
組織の地獄に踏み込まざるを得なくなり、益々
大切なものが遠くなり、失われていってしまう。
これは暴力を描いたマフィア映画ではない。
誰もが心の底に秘めている生きることの苦しみ、
痛み、不条理を描きつくした人間ドラマなのだ。
観たこともないマフィアの世界に何故これほどに
自分の人生がシンクロしてしまうのだろうか。
殴られるというより針で刺されるような痛みである。
人生を歩んできて漠然とこの不条理に体が気付き
始めていたため、体の中にまで映像が浸透して来て
ちょっとしたショック状態に落ち込んでしまった。

追いかけるほどに逃げてしまう幸福という不条理を
マフィアをモチーフにして普遍的に描ききった本作。

間違いない。映画史上屈指の傑作なのであった。□