匂う絵。というものがある。
というか、絵描きにとって、
匂う絵。を描くことこそが
目標と言っても過言ではない。
「目で見る匂い」である。
鴨居玲。
藤田嗣治。
彼らの絵からはぷんぷん匂う。
どの作品も初めて見たときは、
「キモチワルイ」のであった。
しかし何度も目に触れるうちに
この唯一無二の匂いが、快感に変わる。
国立国際美術館で開催中のクラーナハ展。
ドイツルネッサンスの作家・クラーナハ。
彼の作品もまた上記作家と同等のプロセスを経て
自分にとってたまらない作家となっていたのである。
「キモチワルイ」から「カイカン」へ。
肖像画なのに、匂う。
クライアントからの依頼にしっかり応えながら、
自分が描きたい「匂い」をしたたかに描きこむ。
美しい女性を描いているのに、
見た目の美しさの後ろにある臭さを感じてしまう。
余程好きだったのでしょうね。発狂するくらいに。
自分ももっと狂気の中に行きたい。匂う絵を描きたい。□