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夢十夜 「第十夜」

こんな夢をみた。
同僚が出張先の台湾で足を骨折したと聞いた。
その真偽を確かめるべく上司と二人で台湾へ向かう。
「原因は彼に直接聞いてみてくれ」と上司は言った。
僕は同僚のもとに向かい、骨折の原因を尋ねてみた。
彼は希少種のムシを捕まえたのだが、
現地の台湾人に逃がせ。と強制され、
もめているうちに交通事故にあって骨折したという。
ばかじゃないか。と呆れている自分だったが、
見たこともないトンボを捕まえた。
羽根の部分がステンドグラスのように様々な色合いを
持ち、光り輝いているかつて見たこともない美しい
トンボだった。
そんな美しい昆虫が、今手の中にあって僕の手から
逃げ出そうと、ぶぶぶとあばれているのだった。
僕はこの美しいトンボに強く惹かれてしまう。
僕はきっとこれからの人生で、このような美しい昆虫を
見つけることは決してできないことを確信している。
決してこのトンボを逃がしてはならない。と強く思う。
だが僕の手元には虫籠がない。
なんとかトンボをいれる入れ物はならないかと周りを
見渡すと目の前にキムラタバコ店があった。
「虫かごはありませんか。」
「虫かごはない。けれど大切なものをスクラップする
 ためのノートはある。」
僕はようやくスクラップブックを手に入れ、
僕は大切なトンボをノートにようやく挟むことができた。
時折、トンボが逃げてはいないだろうか、トンボに傷が
ついていないだろうかとスクラップブックを開くのだが、
トンボはぶぶぶと動いていてはいる。
だがトンボの形が少しずつ崩れている。僕は怯えている。□