多面的に世界を見ること。

自宅そばにあるイタリアンの店が閉店した。

驚いた。

しばらくは閉店したことに気付かなかった。
大変人気があるお店でいつも前を通るたび、
ガラス越しに見える店内は多くの客に溢れ
にぎわっていたのである。
前身のうどん屋の店舗の資産は全く活用せず、
全ての内装からやり直し、
外装もイタリアらしい建築の壁を想像させる
おしゃれなデザインに作り替えた。
店内には独自のピザの釜をもち、
大いなる覚悟をもってこの店をやるのだ、
という気合を感じていた。
その期待に応えるように、開店当初から店は
安定した人気を持ち、次第に客も増えていった。
ちょっとした思いつきで始め、閉店する店を
多く見てきた自分ですら、これは成功だ。と
思っていたのだった。

だが。

開店から1年ほどするとお店を閉めている日が
多くなった。
見ると、平日は水曜夜のみ。土日だけ昼夜営業。
といったイレギュラーな営業形態に変わっていた。

店が客を選ぶのか。

あまり見ないケースに見えた。
お店の前まで来て「あら閉まってる....」と
帰っていく客の姿をよく見るようになった。
そして、その矢先の閉店だった。

店長の体調が崩れ継続できなくなった?

お客さんがたくさんみえていたようだが、
実は対して食べていなくて赤字がでた?

原因は今もわからない。
開店から2年も経ってはいないから、開店に費やした
大いなる費用の回収もできてはいないのだと思う。

真実はひとつだ。だが可能性は無限大だ。

一般的な店舗の閉店の理由80%は「客が来ない」、
なのであろうが、
残りの20%に隠された秘密、深さを読み切ることは
とても困難だ。
世界は僕らが思っている以上に複雑で奇怪にできている
みたいだ。
一つの側面でしばらずにあらゆる可能性を想定して
多面的に世界を見定めていかなくてはならない。□