人生初のピアノリサイタル。
人生初のフェニックスホール。
400人程度収容のとても可愛いホールである。
北陸の絵画の先生の奥方がピアノにおいて、
大変素晴らしい業績を持っておられるということで
ご縁があり、本日拝聴させていただく機会を戴いた。
個展制作に関西二紀展制作が重なり、
かつて経験したことの無い「あわわわわ~」みたいな
見苦しい日日が展開される今日、ピアノリサイタルは開演された。
正直1秒たりともアトリエを離れてはならない、という
事態ではあったのだが、むしろ離れたいという気持ちもあった。
アトリエに長くこもることが必ずしも制作を前進させるものではない。
今の僕はきっと小さなパニックに陥っていて、
アトリエに深く張っていたいびつに深く絡み付いた根っこを
何かの力によって引き抜いて欲しいと願っていたのだった。
こんなときだからこそ、あえて外に出て道端に咲く美しいスミレを
じっと眺めるくらいでなくてはならないのだと思う。
フォーレ、モールツァルト、ベートーヴェン、そしてラヴェッルと続く
美しく、健気で、それでいて凛々しくもあるピアノの旋律が
小さなパニックに陥っていた自分をリセットしてくれたのであった。
これだけの素敵な演奏会をおこすためにどれだけの大変な準備が
つまれたことだろう........。
作品を発表するということの苦しみをお察しする。そして感謝する。
今度は僕が個展でいただいたものをおかえししなくてはならない。□