義理よサラバ。

僕には何名か大好きな作家がいます。
新作が発表されると連絡を受ければ、
可能な限り、新幹線に乗ってでも会いに行きます。
どんな作品を作られたかが気になって仕方がないのです。
そして作家自身にも会って舞台裏の話を聞きたいのです。
少しでもその作家から何かを吸収したいと願っているのです。
作家と鑑賞者の関係はこういうものでありたい。あるべきだ。
展覧会の案内に対して、
「不義理ですみません」
と来場できないお詫びをいただくことがあります。
でも絵を見るという行為は「義理」であるべきではない。
友人・知人だろうが、知らない人であろうが、
「彼が今どんなことをしているか気になって仕方がない」
といわれるような作品を、作家は作らなくてはならない。
僕らは「義理」に費やすような時間を持つほど暇ではないのです。
もし展覧会会場に「義理」で来てもらったとしても、
ただ申し訳ないという気持ちだけで胸が苦しくなってしまう。
自分にとって本当に大切なものに「本命」にこそ注力すべきであり、
また他人にとっての「本命」に自分はならなくてはいけないと思う。
義理よサラバ。□