沈黙

展覧会が始まったならば、作家は語ってはいけない。

語るのは作品だけです。語っていいのは作品だけです。

作家が語っていいのは展覧会が始まる直前までです。

作家自身が居なくても作品が単独で語ってくれるよう、

作家は作品に全て詰め込み、仕掛けなくてはならない。

それでも言い訳をする人がいる。(僕も含めて.....)

「この作品を作るのは、仕事が忙しくて大変だった」

作品の至らなさを、うまくいかなかった言い訳を

言葉で補い、言葉で質の底上げを図ろうとする。

見苦しい。

底上げどころか、言葉を補うほど作品は一層陳腐化して、

その上作家自身の品性まで傷つけてしまいかねないのに。

作家が大変なことも全部絵から滲み出しているのです。

僕らは言葉を持たないことを肝に銘じたい。

言葉は全て作品に託していかなくてはいけない。□