いつも丁寧にスケッチを

とても尊敬する日本画家のM氏を想う。

3年前、代官山で開催された個展で初めてM氏に
お会いした。
ふだんは大作しか見たことがなかったが個展では
主に小品とスケッチの展示となっていて、新しい
魅力に触れる機会となった。
M氏の仕事は、小品であってもスケッチであっても、
とにかく仕事が丁寧であった。
自分の個展ではスケッチの展示はほとんどしない。
というかできない。
それほどの価値のあるスケッチを描けていないからだ。
タブローに匹敵する美しい線、スケッチを描けたら。
3年前のことであるが、今なおあの時のM氏の個展の
あのスケッチの美しい線を思い出す。
描くことがつらくなったときでも、あの美しい線を
思い出し、あの美しい線を自分の引く気持ちで、
もう一度スケッチから。という意欲を奮い起こしてくれる。

いつも丁寧にスケッチを。そして僕はまた蘇生する。□