5秒のために

出品目前である。

この2か月間、自宅で制作していたS100の作品が
ほぼ完了したため、アトリエに運び込んだ。
出品に耐えるものかどうかの事前審査が入る。
あくまでも師の目であり、本審査ではないが、
概ねその目は間違いはない。


「...................駄目だね。」


5秒。


5秒で終わった。


なんとなくそんな予感がしていた。
自分でも絵の中でモチーフが噛み合っておらず、
また、モチーフ間の主役争いが決着していない気もしていた。
どこかに違和感があり、最後まで消えることがなかった。
前回の2作品で臨むしかない。という結論になった。
今、もう一度それらを見直し、手直しを入れている。

それにしても、あの5秒の切なさ........。

いくら時間をかけようが世界は5秒ですべてを選ぶ。

あの5秒のために考えられる全てを総動員しなくてはならない。

あの5秒をなんとしてもくぐりぬけなくてはならない。□