今日の一冊

「アナログ」 ビートたけし著 新潮社

先日NHK桑子真帆アナのインタビューにて、

「今富士山で言えば人生何合目でしょうか」

の質問に対し、ビートたけし氏は、

「5合目まで下りて来たけど、また山頂目指して登り始めた」

といったコメントを返した。

タレントや映画監督として70歳を迎えた今になっても、
なお新しい挑戦に向かうその姿に、
ネイルの垢を煎じてドリンク!という気持ちが湧いた。
「アナログ」はそんな挑戦の一つとして氏が初めて執筆した小説である。
デジタルの便利な世の中でありながらそれに逆行する強い愛を描く。
映画のシナリオのような読みやすい文体でありながら、
ギャグ、母への想い、大切な女性への純愛という強い骨格がある。
事故で顔に怪我をし、誰にもその姿を見せまいと芸能界を去った女性タレントに、
自らの目をつぶして会いに行く男のストーリーが映画「Dolls」にあったが、
たけし氏が描く愛は、常に狂気といえるほど、強い。
すべてがハッピーにはなれないという痛みを残しながら、
愛の強さを描ききるスタイルは「アナログ」にもはっきりと表現されていた。

強い想い。強い愛。

だれもが潜在的に求めるものを端的に鋭く描ききるセンスが秀逸な作品である。□

 

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