現実と非現実の共生

職場では仕事をする。

アトリエでは絵を描く。

自宅ではゆっくりと酒を飲む。

場所を変える。ということは大きな実りを生む。

スターバックスで勉強をする学生の姿を見る。

きっと彼らは、自宅から離れることで、

誘惑を断ち切り、集中できる環境に身を移しているのだ。

僕が絵画制作をする上で一番苦労しているのは、

「自宅で制作をする」ということです。

仕事から自宅に帰った自分がやりたいことは、

ゲームをしたり、アニメを見たり、酒を飲んだり、

ゆっくり睡眠をとることなんだけど、

それをさしおいて自宅で描く。もう一仕事する。

これがとても難しい。

そういう、自宅に求めてない機能を、自宅で実現する。ということ。

その気持ちを切り替えるのは、本当に難しいと思います。

アトリエの生徒がアトリエに来るのは、

自宅という現実から強制的に自分を引き離し、

アトリエという非現実空間に連れ込むことで、

自分を「描く気分」にさせているのだと思う。

自宅という現実を、現実のままにして、描くという非現実と共存させる。

いろいろな悪魔が耳元で囁く誘惑の中で描き続ける、悶々とした苦しみ。

自分の、自分による、自分のための、アトリエが欲しいなあと心から思います。□