手嶌葵のコンサートでメルパルク大阪へ出かける。
これまでCDでしかその歌声を聴いたことは無かった。
はかなさと、凛々しさを兼ね備えた、美しい歌声と、
静かな表情の写真だけが僕の持つ彼女の情報だった。
それだけの情報からつくられた彼女のイメージは
「完全で隙のない完全な大人の女性」であった。
ところが。
コンサートに行けば、おちゃめなギャグも放ち、笑い、
歌詞をミスしてしゃがみこんだりしてしまったりする
のであった。
それを見て、今ようやく彼女も一人の女の子なのだと
思い知り、それが一層の魅力となっていった。
「完全」であるということが必ずしも魅力というものではない。
むしろ、ミスをしたり笑ったりする人間らしさが、魅力を支える
のだと気付かせてくれた。やっぱり「完全」はつまらない。
精度が高い仕事をする人ほど、ミスが生き、魅力になるように思う。
つねに一生懸命、それでいて時折、ミス。
そんな風な仕事を僕もしていけたら。と力をもらい会場を後にした。
しばらくは手嶌葵のヘビーローテーションが続きそうだ。□