身分相応に。

昨年のクリスマスに、友人の個展に
挨拶に行ったときのことだ。
友人は、毎年クリスマスの時期に
個展をしていて、今年で3年目になる。
毎年新作を見るのを楽しみにしている
のだが、今年は何か元気がない。
来年も期待しているよ。と声をかけると
来年は無理かもしれない...。と弱音を
漏らした。
きけば、アルバイトと制作の日日。
ほとんど外に出る事も無く、展覧会を
見たり、遊びに行くことも無いというのだ。
かつてはアトリエに描きに来ていたから
他の人の作品を見たりすることで調和を
とっていたけれど、今はそれもない.....。

それでは枯渇してしまうよなぁ。
良い作品をたくさんみて、たくさん描く。
そういうインプットとアウトプットの
新陳代謝がうまくいかないと制作は
続けられないんじゃないか。

たくさん観て、たくさん描こう。

そうアドバイスしてみたものの。
では僕は?といえば、それとは真逆で
2017年は正直これでもか!というくらい
多くの展覧会に足を運んだ。
国宝や重文も沢山観たし、
幾多の寺や神社にも足を運んだ。
とても充実した体験だったのだが、ふと、
果たしてこれは、良いことだったのか?
と思ってしまった。

個展が近づいてきてようやく本格的な制作に
突入したんだけど、自分の絵がみすぼらしく
見えてならないのです。どうしても許せない。
自分の絵は、うまくなるどころか、
年々みすぼらしくなっていくように思う。
きっと、描くスキルが高くなる以上に
自分の目が肥えてきて、自分を許せなくなって
いくからだと思うのです。

この素晴らしき世界に溢れる優れた巨匠の
作品の数々にふれるほどに、自分への期待値も
ますます上がって行ってしまっているんだね。

甘やかすわけじゃないけど、
あまり期待値をあげすぎないようにしないと。
ストイックもほどほどにして、身分相応の作品を
出していきたいと思っています。


それでもやっぱり、インプットとアウトプットは
大切にしていかないといけないと思います。□