平昌五輪所感

「チームで取ったメダルです」

平昌五輪。
スキージャンプ女子の高梨沙羅選手が
銅メダルをとった会見で口にしていた言葉です。

実際に鍛錬に鍛錬を重ねて勝利を手にしたのは
間違いなく、高梨沙羅選手だったのでしょう。

でも彼女が口にした「チーム」というのが正に
メダルを獲得した「本当の実体」だと思います。

選手にはもちろん世界に挑む素養が必須ですが、
それをのばすために、例えば日々の食事や経済、
そして潤沢な環境を提供するスタッフも必須です。
勿論彼女の才能を伸ばす優れたコーチや友も。
何かが一つ欠けたら絶対に勝利には辿りつけない。

同じようなことはミュージシャンのライブに
行ったときにも感じます。
会場の美術、設営、演奏家、音響・照明機材の
スタッフたち。そしてご本尊のミュージシャン。
僕らに主に見えているのは、主人公たる
ミュージシャンだけかもしれないのだけど、
それだけの、否、もっともっと多くのスタッフが
関わって、一つのイリュージョンが成立している。

以前、大学時代の友人と飲んだ時、友人が言った。
「いとこがアイドルバンドでデビューした」と。
2枚目のシングル楽曲をリリースするためには、
CDを1000枚売上げなくてはならないという。
家族、親族、友人が一丸となって、
CDを買いあさり、応援したというのです。
「俺も10枚買った」と笑って彼は言った。

一人でできる仕事なんてない。
もちろん、もっともプリミティブなところでは
個人による素養が大きいのかもしれないけれど、
それを継続できるよう、もっと大きくなれるよう
支え、世界に結びつけるスタッフも必須なのです。
そしてスタッフも夢を主役に託していたりもする。
そういう関係にとても清々しいあこがれを感じる。

で、ぼくを振り返ってみると。
絵画制作は、なかなか「一人」です。
でも、お世話になった画廊が閉館することになって
昨日のレセプションでオーナーに挨拶したとき、
ぼくが作品発表を始めた初期のころに本当にお世話に
なったという気持ちが滲み出してきた。一人ではない。
画廊だけでなく、絵を運んでくれる運送業者の方や、
応援してくれた仲間達。
一人でやっているようでも、やっぱり一人では
何もできなかったのだと強く感じます。
それでも、まずはもっとも身近で応援してくれる人が
ほしいと願います。
「ふーん、やったら?」
という単なる許容ではなくて、
「私でも何か協力できますか?」
という参加の意志がほしい。
絵そのものを描くのではなくても、
一緒に作っているということを共有してくれる人、
夢を共有できる仲間がいてくれたら、と思います。

まずは仲間から。
僕の金メダルへの道?はそのあたりから始めたい。□