2018年2月の二刀流

かつてぼくらを熱狂させた「ドラゴンクエスト2」。
ドラゴンクエストシリーズの中でも2が最も好き、
という人が多いと聞く。僕もその一人である。
勇者が一人で竜王を倒したシリーズ第一作に続き、
その子孫たる3人の勇者が共に冒険する傑作である。
その3人の中の一人、トンヌラ王子。
彼は、なんと剣だけではなく魔法も使えるという。
初めてそう聞いた当時、なんてすごいやつなんだ!
と感激した。だが実際にプレイしてみると、
その期待は儚くも裏切られた。という苦い記憶がある。
剣士としては頼りない。そして魔法使いとしても使えない。
どっちつかずの勇者の末裔。
剣士として徹した勇者や、魔法に徹した勇者の活躍に
その二刀流王子の存在は打ち消されてしまったのであった。

そりゃそうだよね。
剣士としても徹していて、魔法使いとしても徹している
そんな都合のいい二刀流がいるわけがない。

でも、二刀流ってそういうものです。
これまで二刀流について何度か書いてきたと思うけれど、
2018年2月現在の僕にとっての二刀流も、以前と同様、
いわば「どっちつかず」という存在なのです。
一つの仕事に全力を尽くした人には到底かなわない。

人間に与えられた時間は平等で、あれこれやらずに
一つに徹底した方が良い仕事ができると思うのです。
二刀流は半分ずつしか時間を使えないのだから、
仕事の質もやっぱり1/2になります。

でもプロ野球の大谷選手のようなすごい存在が現れたから、
世間の二刀流のイメージは「すばらしい」ように見える
けれど、実はそんな素晴らしい二刀流はほとんどいなくって、
結局「どっちつかず」が二刀流の多くの姿だと思うのです。

夜、オフィスを退社するとき、まだまだ残業している仲間がいて、
ふと、彼らはこの仕事1本にかけているんだな。と感じた。
でも僕は家でももう一つの仕事がある。として業務を切り上げた。
これが僕を「どっちつかず」に追い込んでしまったのだと思う。
選んだのではなくて、こういう日日の選択のひとつひとつが
ただ自分を「二刀流」という状態に仕立てあげたのだと思う。

悲観はしていない。
平昌五輪の女子団体パシュートの決勝レースで、
オランダに0.5秒程度の差をつけられながら、
これからです!と解説者が叫び、まるで予言のように
まさに逆転して金メダルを彼女らが手に入れたように。
彼女たちもスピードスケートと言う枠組みの中でいくつもの
競技に二刀流、三刀流で参戦して華やかな結果を残したとも
言える。

二刀流である自分にとっても「まだこれからです!」に、
まだまだ人生をかけてみたい。□