夢十夜 Season2 第十夜

こんな夢を見た。
僕はテレビで大相撲観戦をしている。
その日最後の取組まできたとき、突然その前の一番に物言いがついた。
勝敗には全く違和感がなかったのだが、今更?というタイミングでの物言いだった。
しかも、なんだかよくわからない屁理屈で勝敗に文句を言っているような物言いだった。
親方、ちょっとおかしいな。
そう思っていると、テレビが解説者席に切り替わった。
二人の解説者が立っているのだが、一人の様子が明らかにおかしい。
とても解説などできる状態ではないほど健康がおかしいように見える。
腰を屈めて、荒々しい呼吸をしていて、苦痛の表情と共に大汗をかいている。
「だ、だいだいじょうじょうぶです...」
どうみても大丈夫ではないが、解説者は出来る限り涼しい顔をして解説を続けようともがいている。
テレビを見ていた自分は、見てはいけないものを見ているような気がして目をそらしてしまう。明らかに何かに感染している。あるいは取りつかれている。
ついに、来たか。
これまで地球に存在しなかった謎の生命体の侵略がついに始まってしまったことを、僕は薄々と気づいている。感染はあっという間に広がるだろう。僕は逃げられるのだろうか。途方に暮れている。
解説者はさらにひどい大汗をかき、顔中びしょびしょになっている。やがてシャイニングのジャックニコルソンのような凶悪な笑みが顔に広がった。
解説者が確信的な変貌をする直前に、目が覚めた。□