面倒礼賛

個展制作を振り返ってみて思ったこと。

「めんどくせえなあ」という独り言をかなり連発していたような気がします。

こんな感じで描きたい。とあどけなく思ったことを、実際に描き始めてみたりするのだけど、すぐに思ったようにならない障壁にぶち当たります。
思ったようにするためには、気の遠くなるような描きこみとか、全部を捨てて描きなおす。みたいなことを延々と繰り返さないといけない。一枚の絵が完成するまでには、それが何度も津波のように押し寄せてくる。
そのたびに、僕はため息をついて叫ぶのです。「めんどうくせえなあ」と。

だけど今、改めてできた作品を眺めていたら「めんどくせえなあ」と叫んだものほど、他の作品よりはまあよくできたほうかな、と思えるような気がします。

めんどうくさいものほどいいものになる可能性は高いと思う。それだけ手間をかけ、ハードルを乗り越えてきたことで、何かが宿っているんじゃないか。たぶんそこそこ当たっている気がする。

ボッティチェッリの「プリマヴェーラ」に描きこまれた植物は500種類とかいう逸話があるけど、聞いただけで「めんどくさい」よね。脇役としての植物にそこまで描きこみをするなんて、たぶん世界中の誰も出来ない。だからこそ、世界的な名画になりうるのだと思う。

これからは「めんどうくさい」と叫んだ刹那「あ、チャンスかもしれない」と冷静に自分に言い聞かせてみるのはいいことなのかもしれない。

楽しそうにめんどうくさがるって、結構かっこいいのかもしれないね。

 

第八回増田力也展。いよいよ明日4/24より開幕です!!
お近くにお立ち寄りのみなさま、是非ご高覧ください。□

 

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