黒島教会を訪れて

5月の連休に長く読めずにいた「坂道のアポロン」を読みたいと思っていた。

最近、これまで読みたいと思っていた漫画を順番にこつこつ読み進めていて、5月の休みは「坂道のアポロン」をふと読もうと思いました。本当にふと思ったのです。

連休の後半に長崎を訪れました。隠れキリシタンの足跡をたどるという目的で長崎を回っていて、今年はその3回目になります。
その最後に訪れた黒島教会。佐世保相浦港からフェリーで1時間程度の黒島にある教会です。
事前にもらった黒島の地図ではわからなかったけれど、坂道が多い。徒歩ではなかなかきつい。
民宿に迎えに来てもらった車で坂を上っていくと、立派な黒島教会がみえてきました。
それまで見てきた教会の中でも大きな方だと思います。島の人たちの祈りの場としてひっそりとそれでいて強くたたずんでいました。長崎に無数に点在する多くの教会の中でも屈指の見事な造形と建築だと感じました。

民宿にポスターがはられていました。
近所の小学校の講堂で映画「坂道のアポロン」上映会実施と。

本当に偶然でした。「坂道のアポロン」はそのとき4巻くらいまで読んでいたところで最後までは読めていなかったんだけど、この黒島教会がロケ地に使われたということでした。

結局、連休中には読み切れなくて、昨日読み終えました。黒島教会が物語の中でどのような役割を果たすかを知り、あのとき訪れた教会がいっそういとおしく感じました。

ふと読みたいと思った漫画と、旅先で訪れた場所が奇跡的に結びついたことにとても驚きました。
こんなことがあるものか。単なる偶然と呼んでいい出来事以上のものを感じました。
坂道のアポロン」は作品としてもとても完成された傑作で、この旅とも有機的にからみついて、一生忘れられない作品になったと思います。

昨今、長崎の教会群を世界遺産にすると騒いでますが、僕はあの静かなたたずみを、島の人たちの敬虔な祈りの気持ちをそっとしてあげてほしいとも思います。□

 

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