手で見る

奈良桜井市の阿倍文殊院をおとずれた。

悲願の大国宝・渡海文殊菩薩群像との対面です。
800年ほど前の鎌倉時代に快慶によってつくられた大傑作です。
本尊文殊菩薩像はなんと7メートル!圧倒されました。やっぱり本物はすごい。

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いつものようにスケッチブックを取出し、描き出した。
寺によっては、スケッチ禁止というところもあるけれど、許してくれるところではなるべく手を動かすようにしている。阿倍文殊院はやさしい。

普通の参拝客は10分くらいで参拝を終えるけれど、僕の参拝は30分~60分くらいかかります。
僕は描く。つまり「手で見る」からです。
目は、表面をなめるだけで、実は細部をほとんど見ていません。
仏像の表情や、手の上に載っているもの。細部の丁寧な彫り込み。
手を動かすことによって、初めて気付くことがある(その方が多い)。
また、仏師が仏像を彫った過程を、追体験することもできる。
少しでも手を動かしてようやく「じっくり見られたなぁ」という気持ちになります。
逆に手を動かさないと、どうしても見た気持ちになれません。記憶力も高い方じゃないから、すぐに忘れてしまうし。
手で見ると、記録としても残るから、あとでもう一回眺めたりもできるのです。

我も忘れて、つい30分ほど没頭してしまってから「しまった!」と気づき、おそるおそる後ろを振り返ったら、先生がさらにガチで描いていて「スマンもう10分ほど待ってくれ」と言うのです(笑)。描かない人がいたら、さぞかし「付き合ってられんわ!」となるでしょうね....。

渡海文殊菩薩群像は、2018年屈指の出会いとなりました。

「会いに行く」というのが好き。□

 

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文殊菩薩様を引率する善財童子がチャーミング。