夢十夜 Season3 第一夜

こんな夢をみた。

アトリエの先生が「すごい映画を観た。是非みておくべきだ」と話している。
どこで上映しているのかと尋ねたら、聞いた事も無い場所の、聞いた事も無い映画館を教えてくれた。
上映期間が短く、今日が最終上映日だとのことだったので、急ぎ足で出かけることにした。
映画館は、小さなビジネスホテルのロビーのような狭い通路にいくつかのスクリーンが併設された怪しいところだった。
チケットを購入して劇場に入る。
しばらくすると、座っていた他のお客さんが次々と席を立っていく。どうやら上映会場が急遽変更となったようだ。
隣のスクリーンに変更になったと聞き、移動したのだが、いざ上映開始となってみると、映画ではなく、本物の役者が登場して舞台の上で演技を始めた。
なんだかとても奇妙で意味のわからない芝居だったが、自分は映画の内容が芝居で演じられているのだろうと信じ切っていて、しばらく何の疑いも無く芝居を見物していた。だが、どれだけ時間が経てど、一向に芝居は面白くならない。先生が紹介してくれた作品がこれほどまでにつまらないわけはない。そう思ってあたりを見渡すと、もう芝居を見ている客は自分一人だけになっていた。
芝居は佳境に向かっているようで、劇団員が劇場の床一杯に布団を敷き始めている。自分もそこで眠らせてもらいたいと思ったが、布団は劇団員の分しかなく、眠らせてもらえそうにない。
なにかを間違えた。ということにようやく気が付いた自分は、目をそらしながら静かに劇場を抜け出した。劇場の中から、劇団員がひそひそ話している声が聞こえている。「誰が連れてきたの、あの人?」「誰か知ってる?」「知らない人」
劇場の受付に尋ねると、映画は、こことは異なる別の劇場で上映されていると教えてくれた。
だが、もう最終回の上映は終わりかけている。と告げられ、激しく落胆してしまった。□