時代の表現

先日、市の美術協会の会合に参加した。
今年で美術協会は70周年を迎えるということで、記念の企画がされていると発表があった。
昨今の若い人たちの美術離れを危惧して、まずは楽しく描いてみようという「大人の美術教室」を定期開催するらしい。
確かに、美術業界の若者離れというのは顕著です。
だって、ぼくが最年少というくらいだからねぇ.....。
たまに若い人が出品することがあっても、翌年にはもう出品してこない。
一度入選できたことで満足してしまったのか、他に魅力があることを見つけて去ってしまったのか.....。とにかく続かない。ようにみえる。

でも、この現象を「今の若い人には継続する力が無い」と決めつけてしまうのはどうかと思う。

要するに、時代なんですよね。

ぼくらの時代には、美術と言う表現手段が、最適な表現手段だっただけで、今は今で、また別の表現手段が出て来ているだけだと思うのです。
今の若い人は、今の時代にふさわしい表現手段を見つけて、そこでがんばっている。
どんな時代でも、若い人は、必ず溢れた力を持っていて、その時代に最もふさわしい表現のフィールドで、それらの力を発揮していると思うのです。
ぼくらの時代では常識だったものを、今の若い人たちに教え込んだところで、正直なところ、もどってくることはないと思います。
ぼくらは偏った見方をせずに、彼らが見つけた新しい表現手段の作品を楽しく眺め、応援してあげたらいいと思うのです。

でもまぁ、確かに美術界から若い人が消えていくのを放っておくのもまたしのびない気持ちがあります。
「大人の美術教室」を否定するつもりはありません。やったほうがいい。
描くことの楽しさを伝える、ということが達成できたら、将来に何か効果は出てくるかもしれない。

描く楽しさが一番伝わると僕が思っている、顕著な例はEテレで放送中の「デザインあ」のコーナー、「デッサンあ」をやってみたらいいと思っています。
真ん中に、獅子舞やらボクサーやらモデルを立たせて、360度からみんなでモデルを描くのです。そして出来あがったデッサンをお互いに見せあう。

 


とてもシンプルな企画なんだけど、みんな同じモデルを見ているのに、それぞれ全く異なる感じ方が線に出ていて、描くこと、見ることの楽しさ、美しさを一番感じることができるのではないか。と思うのです。

ただ手を動かすのが楽しい。そう感じてもらえることが一番重要なのかなと思います。
まずはそこからかな。

 

僕は「デッサンあ」に参加してみたい。どうやったら出られるのだろう。□