お祭りが好きです。
帰り道。どこか遠くの方から祭りばやしが聞こえてくると、
どうしても、音のする方へふらふらと足が向かってしまう。
さながら、ハーメルンの笛吹き男に呼び寄せられたネズミのように。
普段はどっぷりと闇に浸かり、ひっそりと静まりかえる裏道の小さな神社に、
このときだけ煌々と明かりが灯り、にぎやかな太鼓や笛の音が鳴り響く。
突如現れたひしめきあう幾多の屋台から美味しそうな匂いが漂ってくる。
小さなおこずかいを使って手に入れた、お菓子やヨーヨーをもって子供たちが走る。
大人もむかしながらの射的や輪投げにはまりこみ歓声ををあげている。
射的やスマートボールの屋台の奥に所狭しと積み上げられた景品の数々。
それらはもうとっくに時代錯誤な手に入れてもどうってことのないおもちゃたちだったりする。
それでもあの場所、あの空間の中だけでは、何かとてつもない宝物に見えてしまうのである。毎日繰り返される日常に、小さな打ち上げ花火があがったようなプチボーナスだ。
一度、このままどっぷりここに浸かりこんで、夕食もここで済ませ、酒を片手にふらふらと屋台めぐりをしたい。と毎回思うのだけど、家での制作を思うと、ブレーキがかかる。そうやってこの非現実空間を後にするのである。
お祭りは心のオアシスなのです。
追伸。
あ、一番好きなのは金魚すくいです。□