ほんとうのオフ

9月の終りの日曜日。

台風24号が迫ってきているということで、街がほとんどの活動を止めた。

台風21号の被害は本当に壮絶だったから、ちょっとぐらい外に出ても。なんて思う人はもうほとんどいなかったと思う。
美術館も、映画館も、スーパーも。どこもが、昼過ぎにはシャッターを下ろし始めていた。
その日、僕は演奏会に行って、帰りに一杯。というつもりでいたのだけど、金曜日の段階でその演奏会の中止が決まった。自宅から一歩も外に出られない。


突然、時間が空いた。


予定が無くなった。ということはよくあるのだけど、全ての予定がなくなってしまったという事態はそう無いものです。突然、空いた時間に、ぽかーんとなってしまった僕だったけれど、実は、これがなかなかよかったのです。

だいたい週末は外出したり、人と会う約束が最優先に入っていて、一日はあっという間に終わっていってしまうのです。すると2番目以降にやりたかったことは、いつもいつも先送りになってしまって、全く進めることが出来ていない。

その日、ぼくはこれまでずっと見たいと思っていた映画を観たり、やりたいと思っていたゲームをじっくりやったり、本を読んだり、実家に電話したり、これからの計画を考えたり。いろいろやりました。でも、それでいて、時間はゆっくり過ぎて行きました。

これって、ある意味「ほんとうのオフ」なんじゃないのか。

そんなことを今更思って、びっくりしてしまったのでした。いろいろ予定を詰め込む休日もいいけれど、何もしない休みを作ることも大切なんだよなぁ。

たまには、立ち止まってみる。できていないことの優先度をあげてみる。そういうオフを作ろうと思いました。


それにしても、あの日のレンタルビデオ店の行列は長かった。皆、「映画と共に籠城」ということなんでしょう。僕もその一人でした。何を観たかはまたいづれ。□