RINGO EXPO 2018

のぞみで東京を出発し、静岡でこだまに乗り換え掛川へ。
JR東海道線に乗り換えて、愛野で下車。そこからさらに徒歩15分。
愛野の改札を出て、舗装されたゆるやかな坂道をのぼっていく。
後ろを振り返れば、はるか山々が駅を取り囲んでいる。
同じ目的でぞろぞろと坂道をのぼっていく人々がいるものの、彼らを除けば駅の周りはたいそう静かである。
やがて坂道を登りきると目指す「静岡エコパアリーナ」が見えてくる。

 

椎名林檎ライブ、RINGO EXPO 2018「不惑の余裕」会場である。

 

いくつかの抽選に応募していたところ、この静岡エコパアリーナ会場のチケットのみ、かろうじて当選することができた。
スタジアムやアリーナを作るためだけに自然を切り開いたばかりの印象を受ける。
このライブのために1万人ものファンがこの辺境の地に足を運ぶ。
併設される駐車場は車で一杯になっていたが、おそらくそれらの多くはこのライブのために遠征をしてきたものだろう。
RINGO EXPO 2018は、静岡だけでなく、さいたま、大阪、福岡をツアーでまわる。
それでいてチケットは当たらない。
チケットは9,999円。静岡の辺境の地まで、さらに交通費や移動時間をかけてファンは会場に集まる。しかも、倍額でもチケットを手に入れたいファンがあふれている。
無料の個展案内を送って「ご高覧よろしくお願いします」と伝えてみても、多くが「忘れてました」で終わってしまう僕の仕事との、この圧倒的な差は、なんだろう。
地を這ってでも観に行きたいという仕事を「不惑の余裕」で20年にわたって出ししつづける椎名林檎のパワーとセンス。まったくもって恐れ入る。
すぐれた作品にふれることは、自分にとって「娯楽」というより「戒め」や「受刑」に近い。

ライブは、やはり圧巻でした。
椎名林檎については20年間、ほとんどすべてのツアーを見て来ています。
その間、歌唱力も衣装も、演奏も、映像や演出も、これ以上出来ない、というくらいに進歩し、成熟しています。
「獣ゆく細道」は、エレファントカシマシ宮本浩次の映像とデュエットするという演出で披露されていたけれど、次の「目抜き通り」は、なんとトータス松本 本人がサプライズで登場して林檎嬢とデュエットしたのだった。
この1曲だけのために、トータスが静岡までやって来たことを考えるだけで、数多くいるアーチストでもなかなか真似できない境地に来ていることを感じました。
これからのツアーで、トータス松本だけでなく宮本浩次も生で出たりする会場もあるのではないか。

さすがの猿飛」のカバーを披露したり、衣装替えでピチカート5の「東京は夜の7時」がカバーされたり。いろいろな優れた楽曲とのコラボも満載で、疾走する2時間となっていました。

もう本当にすごすぎて、十字架を背負うような気持で京都に帰りました。

 

アリーナは初めてだったけど、2時間オールスタンディングはやっぱりきつい年ごろになってきたなあ.....。□

 

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