楽しく描く

 

「ちょっとお願いしたいことがあるんだけど」


ふだんあまり仕事での接点がない先輩に声をかけられた。
なんだろうと思い、話を聞いてみると、
職場のスポーツ大会の応援旗を描いてほしい。ということだった。

最近は、二紀展の出品が終わって、ちょっと呆けたような日々が続いていました。

もうこのまま絵は二度と描けなくなってしまうのではないか。
そんな不安を感じるほどまでに、抜け殻になっていたのだけれど、この一言をもらった刹那、まるでカラカラに乾いたぼろ雑巾が、天から大雨を降り注ぎ受けたかのように、一瞬でうるおいを取り戻したのでした。

ふだんの作品は誰に頼まれて描くでもなく、自分のためだけにやっているから、多くの人たちにとっては「知らんがな」なんですね。
それでも強い魅力を出す作品が作れていたら、人の目を多少なりとも引くこともできるのだろうけど、自分の絵にはそれほどのチカラも無く、だいたいはどこかに埋もれて終わっていってしまうのが常です。
だけど、頼まれて描く絵には、大義名分がある。
絵に関心があるかないかは関係が無くて、絵がそこになくてはいけないという大義名分があります。作品を待つ人がいるのですね。また見る気が無い人の目にも必ず触れるわけです。
だから、そんな仕事は、燃えます。そして面白い。

50号くらいのサイズでしたが、いちもくさんに家に帰って、2時間かけて一気に描き上げました。
楽しかった。
描くということが楽しい。ということを思い出させてくれたのと同時に、自分は未だ枯渇していないということも思いだすことができたのがとても嬉しく、有り難かった。

いつもきりきりと描いて、がみがみと叱られて。そんなんばっかりじゃあ、ダメだね。
たまには楽しく描くことも取り入れたいと思いましたね。

また漫画でも描いてみようかなあ。□

 

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