i-Camera!i-Camera!i-Camera! [前編]

「逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ.....!」

夏からずっと続く胃の不調が一向に良くならなくて、ついに胃腸科に行ったんです。
市販の薬も付け焼刃でしかなくて、せめてちゃんと効く薬でも処方してもらえれば。くらいのつもりで行ったんだけど、偶然なのか、患者は僕しか来ていなかった。

「今日は食事してきた?してないなら胃カメラ飲めるけど?」

「食事はしてきたんでしたっけ」

「今日、食事は...?」

僕一人ゆえか、医者だけでなく、看護婦にまで取り囲まれて、同じような質問をされまくりました。
どうやら医者だけでなく看護婦までもが、ぼくに胃カメラを飲ませたくて仕方がないようなんです。

さすがにこれだけ胃の不調が長引いているから、自分でもうすうす、本当の原因を調べるにはもう胃カメラしかないな。というところまで、追い詰められてもいたのです。言われたときは、やっぱりな......。という気持ちでした。

でも、やっぱり胃カメラはこわい。
口から太い管を飲み込むのですからね.....。
なんどもオエッとえづきながらカメラが胃の中でぐりぐり動き回るのです。
決断には勇気がいります。でも逃げている場合でもない.....。崖っぷちです。

実は、胃カメラは初めてではありません。
ただ、以前、受診したのは鼻から入れることが出来る経鼻胃カメラでした。
鼻から入れる胃カメラ喉ちんこの下を通らないから、経口胃カメラに比べて苦痛が少ないと聞いて、そちらを2回ほど実施したのでした。
でも2回目のとき、鼻からカメラが入らないとぶつぶつ言い出した医者は、「だめだ!」と叫ぶや否や、そのままスポン!と鼻から抜いた胃カメラを、麻酔もなくイキナリぼくの口につっこんできたことがあって、それがトラウマになったのでした。ゲロゲロどころではない。あれは拷問でした。胃カメラを扱う医者にも名医とヤブがあることを思い知ったのでした。

そんな事件があったことや、経鼻胃カメラは、時間がかかり、できる病院も限られているということで、やはりここで経口胃カメラデビューしとかなくちゃならんよなぁ....。と思ったのでした。

ネットで口コミを調べたところ、口コミは、言われているほどまでにゲロゲロではなくて、麻酔がしっかり効いて、ぼーっとしている間に終わってしまったというものが意外にも多かったのでした。
また、胃カメラを怖がって逃げ回っている自分や、管を口からいれられてゲロゲロになっている自分の映像を想像したときに、なんだかとてもマヌケでおかしく思えてきて、これはネタになる。と考えてしまったのでした。

たかが数分の検査。ぼくがこんな小さな町の片隅の病院でゲロゲロになっていようがいまいが、世界は軽々と回っちゃっているわけです。

そう気持ちを入れ替えてみると、もうなんでも笑い話になるし、笑い話にでもして聞いてもらわんことには勿体ないではないか。

....なんてことに思い至って、ようやく経口胃カメラの受診を覚悟したのでした。(つづく)

さて次回、飲むや、飲まざるや?□