i-Camera!i-Camera!i-Camera! [後編]

「まずは胃の活動を止める注射を打ちます。」

診察室に入るや否や、一本目の注射が肩に打ちこまれた。
しばらくベッドに横になっていてください。と指示を受け、ごろんと横になる。

病院は混んでいた。
胃腸の診察以外にリハビリ等の患者が次々とやってくる。
カーテンの向こうで年配者の診察を次々と片付けていく看護婦たちの声が聞こえる。
いつこっちにくるのだ。このまま来ないでほしい。否、そんなわけにもいくまい....。この待ち時間が長い。

院内のテレビでは「ふわふわ温卵入りスープカレーのレシピ」が楽しげに放映されている。これから胃カメラを飲むというのに、とても見ていられる内容ではない。

やがてそのときはやって来た。
看護婦が枕元にやってきて、並ぶ計器類にぱちぽちと電源を入れると、不気味な稼働音が聞こえてきた。
看護婦に渡されたペットボトルのキャップくらいの小さな容器に入れられた白い液体を一気に飲み干す。
バリウムを飲むときにも飲まされるような液体である。
次に渡されたのは、スプーン小さじ一杯分のどろどろとした液体である。
「喉の麻酔薬なので、ゆっくり飲んでください」と看護婦。
これがあのオエッ!を軽減する薬である。
効いてくれ!とすがるような思いで、ゆっくりゆっくり喉になじませながら飲んだ。
......しかし。麻酔らしい麻酔の効果があったような感じは全くない。
まさか、この状態で胃カメラ飲むのか!?

怯えていると看護婦が注射を持って現れた。
「検査のための血液をとりまーす」
本日二本目の注射が打たれ、血液を採取された。
「続いてもう一本いきます。ぼーっとするかも知れませんが薬のせいですよー」と言いながら三本目の注射が打ちこまれた。
さっきの喉の麻酔はほとんど聞いている様子は無い。この注射が頭をぼーっとさせて、カメラが入る違和感を打ち消してくれるのだろうと願った。
だが。注射を打った直後、まだ薬が効きだしてもいないような直後に「はいでは胃カメラ入れますよー」と検査は始まってしまったのであった.....!

うげえええええええええ。げろげろー。

胃カメラがスルスルと入ったなんて口コミは嘘です。
やはり胃カメラはしんどい。
ものすごい嘔吐感がなんども押し寄せてくる。
でも、これは喉の接触のせいではなくて、胃を膨らませるために入れられた空気が逆流しているだけだと後で知った。
終わってくれーと願うほどまでの時間もかからず、検査はあっけなく終わったのであった。

あとで改めて振り返ると、実はバリウム検査の方がしんどいかもしれない。
バリウムの、あの「げっぷを我慢した状態で、台の上で逆さ張りつけの刑」が続く時間の方が余程長いし、つらいのではないか。
勿論、カメラを飲むのは苦しいが、わずか1分程度で終わるのである。やはり胃カメラの方が楽なのかもしれない。

肝心の検査の結果は、さいわいにして、潰瘍もなし。ピロリ菌もなし。であった。

逆流性食道炎。ということになるらしい。

寝る前に食べないこと。

一度にたくさん食べず分けて食べること。

そんな指導を受け、500mlにおよぶ胃腸薬のボトルを3本かついで無事帰還した。

なにはともあれ、健康第一です。最近ますます心からそう思います。
体の調子を悪くすると、全く仕事に気持ちが向かって行かなくなって、どんどんふさぎ込んでいきます。みなさまもお体をくれぐれも大切に!

追伸。
自宅に戻ってから、さっきの三本目の注射が効いて頭がフラフラになりました。意味ないなあ...。□

 

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初公開!私の胃の中。胃の中の蛙。