夢十夜 Season3 第六夜

こんな夢を見た。

そろそろ新しい100号の絵の制作にかかろうと思っている。

だが、以前部屋にあったはずのキャンバスがごっそりとなくなっている。
どこへ行ってしまったのだろう。
大して広い部屋でもない。なくなるはずがない。
そこに、来客があった。
父親と、彼の2人の息子だ。その父親がぼくの友人ということになるのだろうが、その男の顔に全く記憶はない。だが彼は、ぼくのことをよく知っているようで、気さくに話しかけてくる。
彼は、子供たちは今、奥で遊んでいるという。

「奥?」

そう思うや否や、廊下を走ってきた子供たちが、ぼくに挨拶をしながら部屋に飛び込んできた。
ぼくの家には「奥」などない。
リビングとアトリエの1LDKである。
彼らはどこから走ってきたのだろう。
そう思って廊下に出ると、なんと奥に廊下が伸びている。
そして、廊下をはさんで二つの大きな部屋がある。
向かって右は、トレーニングルームになっている。
ルームランナーや筋力トレーナーのような機械が20畳くらいの部屋に設置されている。
その部屋の奥は来客用の寝室も兼ねているようで、布団が何組か敷いてあった。
向かって左は、巨大なホールになっている。
30~40畳くらいはあるだろうか。小さな体育館のようだ。
壁はすべて巨大なガラス窓になっていて、窓の向こうはベランダになっている。
ベランダの向こうには、なんと巨大な桜が、今は秋だというのに満開に狂い咲きをしている。
ホールの広さと、窓から見える狂い咲きの桜が、あたかも巨大な1枚の絵のように目に飛び込んできて、その美しさに圧倒されている。
先ほど探していたキャンバスは、全てこのホールにあった。100号のキャンバスが20枚くらいある。
今日から絵画制作はこの部屋を使ってやったらいい。
もう猫の額のような6畳のアトリエで制作する必要なんて全くないのだ....!
少し前までそろそろ引っ越ししなくては、と思っていたが、そんな気持ちは一瞬で消え、すっかりこの部屋のとりこになってしまう。
もうどこにも行く必要なんてない。
この部屋で狂い咲きの桜を見ながら、ずうっと絵が描けるんだ。
そう思うとうれしくてたまらなくなり、そのしあわせをかみしめている。きっとすごい絵が描けるに違いないと確信している。
だがそれだけではない。さらに、ホールの奥は10畳くらいのセミナールームになっている。
その日も20名程度の研修生がそこで研修を受けている。
研修の案内をするコンパニオンがホールに3,4人立っていて、僕に会釈をしてくる。
やがて研修を終えた研修生が部屋から出てきたが、彼らは帰宅せずに研修を受けられたり、こんな広い部屋で絵画制作ができるぼくのことを羨望の目で見ながら帰って行くのだった。なんだか申し訳ないような気持ちにもなった。□

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トイレがどっかにいっちゃった。