春なのに

春だ。

また春が来た。

春の事なんてすっかり忘れてしまっていたのにさ。

せつなさという名の蜂にちくっと刺されて思い出すんだ。

ああ、また春が来ちまったって。

ずっと一緒にいられると思っていた。

でもずっとなんてない。

どんなものにも終わりがやってくる。

職場の親睦イベントの幹事をつづけて10年にもなろうか。

かつて新人歓迎会で迎えた新人は、

やがて幹事になりこちら側にやってきた。

そしてこの春、あっという間に幹事を卒業して去っていった。

ずっとここにいる自分は人魚の肉を喰った「なりそこない」みたいだ。

でも僕はそんな春が、3月が一番好きなのである。

寒さと暖かさが静かに振幅しながら競い合い、

少しずつ暖かさに軍配が傾いて行くその気配が。

同時になにか大切なものが去って行って、また

新しいものがやってくることを予見させる気配が。

柏原芳江が頭の中で繰り返しこだましてます。

 

誕生日です。あー、また歳とってしまったぜえ....Z!!□