謁見

この週末に行われた万年筆フェスで、ついに万年筆ドクター・川口明弘氏に謁見した。

突然インクが出なくなった万年筆をどうしても直してもらわねばならなかった。

万年筆の調子が悪くなったのはGWに訪れた大分の時からである。
旅先の日記は、やむをえずボールペンで書くことになったが、一気に書く気力が落ちた。
軽く振ればしばらくはインクが出るが、すぐにまたインクが出ない状態になってしまう。
万年筆が普通に使えないと生活リズムが壊れてしまう。
僕にとって万年筆依存度はとても高い。

この二か月騙し騙し、なんとかつないできたが、ようやく悲願の対面である。

「90分待ちです」

いつもは静かな文具店の店内にどこに隠れていたのだろう、文具ファンがどっと押し寄せていた。
何も考えずに、行けば診てくれると思っていたが、こういったイベントは「定員オーバー」だの「時間切れ」だのがよくあるものである。90分待てば診てもらえる、というのは不幸中の幸いだろう。

近くで昼ごはんを食べながら待っていたら、ちょうど食べ終わるころに電話が鳴ったので再び店舗へ。

御歳70代後半といったところだろうか、横顔が橋爪功氏に似ている気がする。

「どこが調子悪いの」

最近起こっているインクが出ない現象を説明すると、万年筆を分解し、水で洗い、レンズで覗き、ニッパーのようなもので2,3回絞めた。ここまで1分程度である。
その後、ドクターは眼鏡をとり、手荷物の中から何かを探し始めたのだが、見つからないようだった。1つ目の鞄を調べて無く、2つ目の鞄を調べ始めたが無いようだった。どうやら換えの眼鏡を探しているようだった。
ようやく見つかったようで、かけ直したがここまで5分程度である。
眼鏡をかけ替えて、さあ本作業か?と思いきや、ほいと万年筆を手渡された。
眼鏡をかけ替える前にもう治療は完了していたのである......!!

治療時間1分。眼鏡を探す時間5分。

あっというまの電光石火のお手並みであった。

我が愛しの万年筆が復活した。すいすいとインクが出てくる。やはりドクターはさりとてはの方であった。

 

追伸。治っているのなら眼鏡探す前に渡してよ。というツッコミは黙って飲み込んだ(笑)。□

 

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