かつて、ご近所さんとは家族のようなものだった。
お互い自宅の鍵は開けっ放しで、垣根越しにたわいもない話をしたり、作りすぎたおかずを交換しあうような関係であった。
それから時代が流れ、ネットによって国籍すらも越えた新しい人とのつながりが生まれたものの、より身近なご近所さんとのつながりは「何する人ぞ」になって、すっかり遠いものに変わり果てた。
さらに、国内の思想すら二極化されて、民族も分断される時代となった。
対して、日本では立て続けに起こる災害による絆の再認識や、スポーツをきっかけとした一体感の再認識のようなものがあって、僕らはこの20年で失われていったつながりが、やっぱり失われてはいけなかったものだというのを思い出したりもした。
そんな僕らが忘れたものを取り戻すことをゲームにできないか。
PS4の小島秀夫氏の新作「DeathStranding」の開発のスタートはそんなことだったのではないか。
「分断された拠点間に荷物を運び届け、それらを結ぶ。その中に”絆”を再確認する。」
いうなればそれだけのゲームである。
そこに敵を配置してゲーム性を持たせたり、世界が分断された理由を死者の世界の何者か。というフィクションとしての意味付けをしているが、エッセンスは「絆」のゲーム化である。
ひとことで語れるシンプルでわかりやすいコンセプトに、潤沢な映像技術を載せて磨き上げる。
まだプレイ開始して数時間程度ではあるが、物語、ゲーム性、システムといったものがどれも1つの目的「絆、一体感」に向いていることを見て、すげな。と感激している。
複雑なようでいて、今なおファミコンゲームのシンプルさを感じさせるのである。
やっぱり小島秀夫氏はすごい。
なかなかプレイする時間がとれないが、こつこつとアメリカ大陸横断を目指したい。□