主夫になりたい。
最近よくそんなことを考える。
夫婦ともに働く時代である。
家の中のことは妻。家の外のことは夫。そんな時代でもない。
お互いに得意なことをやって、助け合う。
お互いに気が付いたことをやって、助け合う。
それでいいと考えている。
買い物。
料理。
ごみ捨て。
雑草処理。
庭の水まき。
トイレ掃除。
そんなことが、全く気にならない。むしろ好きである。
家事は、人と折衝をしたり、人に説明したり、人を説得する必要がない。人同士の摩擦もない。アイデアを考えあぐねる必要もない。
目的がはっきりしていて、短い時間で必ず決着がつくし、やれば必ず終えることができる。そういうところが、とても気楽で心を癒してくれる。
以前の部署でお世話になったすごく優秀な先輩が、休日にパチンコをするといっていた。
風貌や話し方からはまるでそういう趣味がある人だとは思わなかったのだが、聞くと、「何も考えずに転がる球をぼーっと眺めているだけでいいので、癒しになる」のだそうだ。
明日試験を迎えるという学生が突然、掃除を始めたりする。
勉強をすること、頭を使うこと、乗り越えなくてはいけないこと。という重い試練より、単純に手を動かすだけで決着がつく掃除の方が、気楽で、何かをやった気になれるという気持ちになり、つい目の前の現実から目を背けるために掃除を始めるのである。
自分にとっての家事はそんなことに近いのかもしれない。
たぶんなってみたらみたで主夫も大変なんだろうけど。
もつれる人間関係や、疑心暗鬼や、アイデアをひねり出す苦しみや、挫折なんてものから、心の底から逃げ出したいと思うほど、隣の芝が青く見えるものなのでしょうね。
あ、でも掃除は苦手です。細かいことをあまり気にしないし、気にできない人間なもので....。□