「AKIRA」が書店で平積みになっている。
いわずとしれた大友克洋氏の近未来を描いたSF漫画作品である。
なにかあったかと調べてみると、作品に描かれている時代が2020年ということで、1988年にアニメ化された作品を4Kでリマスターするなど、盛り上がりを見せているようだ。
作品中に描かれる2020年のTOKYOは、謎の大爆発の爆心地を中心に、かつての首都たる姿はなく、廃墟と化している。
学生時代に熱心に読んでいた漫画研究会の同期が「(半永久的に)貸すよ」といって借りた全6巻は、まだ実家にある。作品を読んでいたときは、2020年という時代がはるか未来のように感じられていたが、今やもう、その未来だったりする。
幸いにして東京は廃墟とはなっていないが、日本全土はおそろしいウィルスが蔓延し外出もままならない事態となっている。あの頃の自分にそんなことを告げたら、まっさおになることだろう。
でも、それでも、どっこい生きている。
同じような話が映画「バックトゥザフューチャーPART2」にもあった。
1989年公開の作品で、作品中で描かれた未来は2015年であったが、その時代もあっという間にやってきてしまったのだった。
劇中で描かれていた浮遊するスケートボードや映画「JAWS19」は、実際の2015年には、まだ未来の出来事であったが、2020年に実際に30年分の時間を経た母役の女優と、1989年に30年歳をとった想定の劇中のメーキャップした女優の姿を比べて、「同じだ!」と盛り上がったりしていたのである。
鉄腕アトムは2003年4月生まれだから、もう17歳ということになるが、テクノロジーと言えばAIというキーワードが独り歩きしているが、まだ人間のような動作をするロボットが生まれる未来には至っていない。
さらにさらに、映画「2001年宇宙の旅」。
2020年の今、宇宙の旅は少しずつ見えてきてはいるが、2001年ではとても宇宙は遠かった。
未だ一部のロビンソン富裕層が、走り出した民間宇宙旅行会社の数億円の宇宙旅行商品を買ったと、世界的なニュースになり始めたくらいであって、人工知能が暴走して人間に逆らうような未来は来ていない。
SF作家やぼくらの見ている未来は、思ったほど長い時間ではなかったけど、思い描いているものは思った以上に遠かったということでしょう。
ぼくらは知らない間に、もう、未来に生きているのですね。
そのうち、ドラえもんが生まれた時代もすぐにやってくるのでしょう。
未来は、今です。□